とかくライバル関係として捉えられがちだが、Microsoft は Apple Computer に対し、常に微妙な距離感を保っている。Microsoft は『Windows』で Apple の『Mac OS X』を圧倒しつつ、長年にわたる (8ビットパソコン時代から現在に至るまで) Apple 製パソコン用製品メーカーでもある。
Microsoft は30日、同社初の Apple 製パソコン『Macintosh』専用キーボード/マウスパッケージ『Wireless Laser Desktop for Mac』(WDM) を発表した。WDM は、ワイヤレスキーボードとワイヤレスマウスをセットにした製品で、今夏発売の予定だ。価格は99.95ドルとなっている。
WDM の Macinosh 専用たるゆえんは、キーボードの配列が Macintosh 用となっており、「Windows」キーがなく、共通の「Control」キーを除き、モディファイヤキーを Macintosh の「Option」「Command」に合わせている点だ。これは同社のキーボード製品初といえる。Microsoft はこれまで、Windows 用キーボード/マウスの Mac OS 用ドライバソフトウェアを提供していた。WDM は Intel 製プロセッサ搭載 Macintosh と従来型の『Power PC』搭載モデルで利用できる。WDM のキーボードとマウスは、曲線を基調とするいわゆるエルゴノミクス型のデザインで、ワイヤレス接続による快適性が特長だ。
Current Analysis のアナリスト Matt Sargent 氏は、取材に対し次のように述べている。「Microsoft が Macintosh 専用ハードウェアを投入することは、驚くことではない。同社が、これまでの事業の延長として考えていることは間違いない。Macintosh 市場における専用製品は、非常に利益率が高い傾向のある分野だ。Macintosh ユーザーは Windows パソコンユーザーよりも、この種の周辺機器に多額のお金を投じる」
そしてキーボードは、独自の特殊機能を備えている。たとえば、お気に入りの写真/フォルダ/ファイル/Web ページを即座に開くようカスタマイズ可能な、5つのキーをはじめ、CD や DVD をワンタッチで取り出せるイジェクトキーや、Eメール/チャット/音楽/写真/Web などを利用するプログラムを起動できる複数のホットキーなどだ。
Microsoft にとってリソースが足りないということはまずないが、Macintosh 周辺機器市場には、すでにブランドが確立している大手の競合相手が存在する。まず Apple 自身が、ワイヤレスマウスとワイヤレスキーボードをぞれぞれ59ドルで販売しているほか、Macintosh 周辺機器メーカーとして長年の経験を持つ Logitech も、ワイヤレスキーボードとワイヤレスマウスのセット『Cordless Comfort Duo』を99.95ドルで販売中だ。
しかし、Macintosh ユーザーの間に好印象を与えているか否かはともかく、最初に書いた通り Apple と Microsoft の関係は長い。特にソフトウェアに関しては歴史が長く、1970年代後半の Apple 製パソコン『Apple II』用に登場したプログラム言語『Applesoft (Apple 10K BASIC)』は、Microsoft のライセンス提供によるものだ。さらに Macintosh 発売時の対応ソフトウェアメーカーの1つが、Microsoft だった。
またハードウェアについてだが、Microsoft の Web サイトでは、同社最初のハードウェアを1983年の『Microsoft Mouse』(IBM-PC 互換機用) としているが、記憶によれば1980年に発売したプロセッサボード (ソフトウェアを含む)『Z-80 SoftCard』が最も古いハードウェア製品だ。そしてこの製品が Apple II 用だったことからも、Apple と Microsoft の縁の深さが伺える。