休むことをしらない Apple のマーケティングマシンMac と iPod はかなり売れているようだ。「飛ぶように」という言葉では足りないほどである。Apple はどうやってこの状況を実現しているのだろうか? もちろん、(偏見とまではいかないが) Windows と Mac OS X を比較して笑いを誘う広告を次々に用意してくる Apple 自身のマーケティング部隊の力もあるが、それはほんの一面に過ぎない。
Apple が有償で展開するマーケティング活動を支えるのが、メディアの刺激を受け、うわさと推測から作り出されたマーケティングマシンだ。これらのうわさの少なくとも95%は UFO や Elvis 目撃談と同じ部類のものだが、うわさや推測は Apple にとってコストのかからない宣伝であるため、それはどうでもよいことだ。これが休むことを知らない Apple のマーケティングマシンだ。 その例は、「iPhone」だけで十分だ。これこそ、限りなく続くうわさによって成功を収めたデバイスだ。実際のところ、このデバイスの周辺にはあまりにも多くの作り話と伝説があふれ、Steve Jobs 氏が実際に詳細を公開したときには筆者個人は落胆したほどだ。 筆者としては、個人専用で使うことができ、筆者が持っているほかのすべてのガジェットを一挙に時代遅れにしてしまうようなモバイル OS X プラットフォームを期待していた。それだけではなく、筆者は iPhone が個人用バックパック型ジェットエンジンとしても使えて車までも時代遅れにしてしまい、夏が来ればダニがいないか筆者の身体を調べてくれるところまで期待していた。それなのに、iPhone は Steve Jobs 氏の厳格な管理下にある単に無能なスマートホンプラットフォームに過ぎないことが分かってしまったのだ。もちろん、iPhone のスタイルは得点が高いが、柔軟性の点では筆者の Windows Mobile スマートホンの楽勝だ。 しかし、メディアに誘発され、息もつけないほどの勢いで展開される大騒ぎのおかげで、人々は iPhone に何ができて、何ができないのかは気にせず、みんなが欲しがるようだから、という理由だけで iPhone を欲しがった。 そして、あれから1年近くが過ぎた今は「iPhone MKII」に関する憶測が毎日飛び交っている。画面の改良、3G、バッテリの強化(これは必須)、GPS、カメラの改良、メモリの増量などなど、憶測は延々と続くばかりだ。 これらの憶測のなかには、「明白」(その好例が「次期 iPhone は機能が強化される」というものだ。えっ!本当だろうか?)に分類されるものもあれば、突飛なものもある(こちらはいくらでもあり、ここでスペースを割くようなことはしないでおく)。Apple は今のところ、新しい iPhone が実現する内容については口を閉ざしている(実際、同社は iPhone に新バージョンが投入されることさえ認めていない)が、秘密主義も、狂気じみて過激な臆測や仮定の障害にはならない。 実際、超秘密主義という Apple の特性は、同社の次の手を推測するだけという、技術系メディアの完全に新しいセグメントを作りだし、それが同社にとって非常に大きな利点となっている。 しかし、それは憶測だけでは終わらない。もちろんだ。筆者が驚かされるのは、あるサイトに掲載された明らかに突拍子もなく憶測にすぎない断片が、すぐにほかの無数のメディアに取り上げられ、それが事実として報道されることだ。そしてこれがさらにほかのサイトにも取り上げられ、Apple の名前がその日のうちに文字通り数百万人の目に触れる。これは、数百万ドル分の無償広告に匹敵するというのが Apple の見方だが、そのすべては超秘密主義でいるおかげなのだ。 他社でもうわさは作り出せるが、Apple よりうまい会社は1社もない。この休むことを知らないマーケティングマシンによって、昨年だけでも「iPhone」、「iPod」、そして「MacBook Air」(この機械に大金をつぎ込んだ人は、本当に頭がおかしくなって現実が見えなくなっているに違いない)までが売れてしまった。 要するに、Apple は顧客をエキサイトさせる名人なのだ。 しかし、この誇大宣伝にはマイナスの副作用がある。失望だ。筆者が iPhone の誇大宣伝と現実の差を知って落胆したことについては既に述べた。それに筆者は 、Steve Jobs 氏が世界に向けて発表する前に iPhone がどのようなものになるのかを既に知っていた。そして、筆者にはこれと同じ幻滅がほかの人々にも忍び寄っていくのが見える。 MacBook Air は、(もちろん公にではないが)かなりの数の購入者が深く後悔した製品の1つだ(筆者には、人々が公の場で Apple 製品を非難することを強くためらうことが分かっている)。 「Apple の次の一手」ゲームはだれでも参加できるし、最終的に間違った予測をしても絶対にマイナス面はない。ぜひ Apple に関する独自の突飛な予測を考えて一緒に楽しんでいただきたい。 |