IT 専門家の24時間米国で大ヒットしているテレビシリーズの「24」をご覧になったことのある方なら、本稿の方向性を理解していただけるかもしれない。
ご覧になったことのない方には簡単に説明させていただく。この番組は、卑劣なテロリストによる攻撃と、これを阻止しようとする勇敢な連邦捜査官、Jack Bauer が繰り広げる一連の事件を追っている。しかし、これらの出来事は常に24時間の間に起こり、24時間以内にうまく解決する。 IT の専門家は、すべてのプロジェクト作業や火種の処理が24時間でうまく終わるように祈ることしかできない。「24」では、難問を素早く解決する能力を技術が大幅に高めてくれる。しかし、セキュリティを回避する侵入行為、ウィルス、未熟な担当者、そして過労で疲れた IT 職が短時間で多くの作業を達成しようとするなど、技術が大混乱をひき起こす場合もある。 これだけの技術がすぐに使えるような状況にあっても、1日分の予定作業を半分でもこなすには1日24時間では足りないと感じることはあるだろうか?筆者もそう感じている。 現代の IT 職は、毎日飛ぶように過ぎていく時間から何とか数分を絞りだすべくへとへとになっている。世界的な技術スタッフ不足のなかで、IT 職のストレスは限界に達しつつあるのだ。 この状況を説明するのに最適な方法は IT マネジャーの典型的な1日を追うことだと筆者は考えた。ほかの IT 専門家の共感を得られるかどうかは分からないが、これで、IT の現場で働く人間の24時間がどれだけ早く過ぎ去るのかを説明できることを期待したい。 5:30 AM- 目覚まし時計の音で半分意識が戻る。デスクトップ版 Vista のアップグレードが成功する素晴らしい夢から現実の世界に引き戻される。 さあ、今日も仕事だ。 6:00 AM- 交通情報が流れるまでの間、夜中にシステムステータスの警告が出ていないかどうか、そして逆の時間帯にある海外の開発部隊が成果物を納入したかどうかを Blackberry でチェックする。 交通情報で問題がなかったのは良かったが、システム警告が多数出ていて、成果物も全く来ていない。 6:30 AM- 地下鉄では席に座れない。ラッシュの人に身を任せ、遅れの原因を聞くべく海外の部隊に何とか電子メールを送信する。返信を待つ間、バックパック(社会的地位のある IT 専門家はもうブリーフケースなど持ち歩かないはずだ)を探って IT 関連商品の最新カタログを引っ張り出す。 8:30 AM- 地下鉄が遅れたため、いつもよりやや遅く会社にたどり着く。 海外部門のマネジャーからの電子メールには、完成したビルドが動かないという説明がある。これで、米国側のテスターは1日中 Web サーフィンでもしていられる。 今度は、午前9時に予定されているスタッフミーティングの準備を早急にしなくてはならない。地下鉄で最新カタログなど読まなければ良かった。 9:00 AM- スタッフミーティングの頭から悪いニュースだ。 予算の削減により、ネットワーク関連問題の予測とトラブルシューティングで部隊の時間を大幅に節約するはずだったソフトウェアの購入が中止になった。これは、動作の遅いアプリケーションに不満を訴え、激怒したユーザーを電話でサポートするための残業時間が増えることを意味する。 ただし、一番の問題になっていたエンドユーザーの退職が発表され、ミーティングの最後はうまくまとまった。これでソフトウェア予算の削減分が相殺されるのでは、との意見で全員が一致した。 10:30 AM-CIO とビジネスインテリジェンス(BI)構想の話をする。 先日、「Microsoft SQL Server」への全データベースの移行が完了したばかりのタイミングで、選定したベンダーが Oracle に買収された。CIO は、契約が取り消せるかどうかを今日中に知りたいという。 弁護士と話をする時間を設定する。友人と昼食をとる予定だったが、これでキャンセルだ。昼食は弁護士ととることになる。 12:30 PM- 社内で弁護士と昼食をとりながら一緒に契約を見直す。 契約が取り消せないとの判断に至る。 1:30 PM- 営業担当バイスプレジデントがオフィスに新しい iPhone を見せびらかせに来る。IT にそれをサポートさせたいのだという。 Blackberry で標準化している理由を説明する間、営業担当バイスプレジデントは新しい着メロをダウンロードすると、自分を例外としてサポートして欲しいと主張する。 彼は新しい着メロを鳴らしながら平然とオフィスから立ち去る。 2:00 PM- ノルマを達成していないのに給与調査書を持ち出して低賃金に不満を訴える社員に年間査定表を届ける。 2:45 PM- 段ボールのような食感のピザと、目まいがするよう弁護士との話し合い、そして気まずい年間査定の話をしたあとは、IT 担当者の大好物である胃薬を午後のスナック代わりに飲む。 3:00 PM- 弁護士の気が変わった場合に備え、BI の代替案を Web で調査する。Web のアクセス速度が非常に遅く感じられる。ネットワーク監視ソフトウェアがあれば良いのにと心から思う。 3:30 PM- かぜのため、待機人員が帰宅する。 代わりになる今晩の待機人員を探すが、だれも志願しない。そこで、低賃金に不満を訴えた人物に待機を命令する。特に理由はない。 5:00 PM- ようやく電子メールをチェックする時間ができる。 朝から約125通の新しい電子メールが届いている。新しいボイスメールも5通ある。返信の必要なメッセージを入念に選び、重要なメッセージを見落としていないことを願う(CIO からの電子メールは赤でハイライト表示させているので助かる)。 6:00 PM- 会社を出ようとしているときに、同僚に「冗談で」怠け者と呼ばれる。 驚くべきことに地下鉄で座れたので、ノート PC を出して CIO 向けの今週のステータスレポートを書く。しかし、数分すると妊婦に席を譲るためノート PC をしまわなくてはならなかった(IT 職には思いやりもあるところを見せたかった)。 8:00 PM- 時間通りに帰宅すると、「はい、あとはすべて任せるわ」と、むずかる赤ん坊を妻から渡される。変な音の出るマシン(人工的に合成された雨が降るときの音は、赤ん坊や、時には大人が眠るのに重宝する)。ゆすりながらようやく赤ん坊を眠らせると、マシンから低くかなり大きい音が出て赤ん坊が泣き始める。Blackberry GSM のノイズが干渉したのだ。 9:00 PM- 冷凍ブリトーを素早くかき込む。 Blackberry より電子レンジの方が発明品としては優れている、との結論に達する。 10:00 PM- 海外部隊と電話会議を開き、ビルドの問題について話し合う。海外事業所に台風の直撃があったのだという。そこの部隊には災害対策プランに不測の事態への対応がなかったことに気付く。テスターたちは明日も Web サーフィンで時間をつぶすことになる。 1:00 - ようやく枕の出番だ。 だが、至福の眠りに就く前に、妊婦に優しくしたため今週のステータスレポートができていないことを張りつめた脳が急に思い出す。 続きは地下鉄でやればいいと理屈づけようとするが、席に座れる保証はどこにもない。そこで、階下に降りてノート PC を開き、ステータスレポートを作成する。 2:00 AM- ようやく夢を見る時間だ。 その内容が明日のことでないことを祈る。その代わりに、トラブルからみんなを助ける勇敢な IT マネジャーになる夢も良いかもしれない。 |