|
リスティング広告の限界リスティング広告は ROI(費用対効果)が高い。そこかしこの広告代理店の営業マンから聞こえてきそうな文句だが、これはある意味で事実と受け止めざるを得ない。投下した費用に対しての効果を数値として見られる広告は数少なく、またプル型広告の利点を活かし、確度の高いユーザーを購買行動へまでも促すことができるからである。
しかし、はたしてそれだけだろうか。結果が数値で把握でき、確度が高いユーザーを囲い込むことのみで、結果として ROI が高くなるのであろうか。答えは、ノーである。 この要因が理由と結びつかないワケを理解することは、リスティング広告の本来のあり方を紐解いていくことに他ならない。そのリスティング広告本来のあり方を見つめなおすことは、リスティング広告の、ひいては Web マーケティングの役割を明らかに出来ると私は考えている。では、一つずつ考えてみることにしよう。 ■リスティング広告でできること 究極の問いである。答えは簡単、ユーザーをランディングに指定したサイトへ誘導すること。それのみである。 ■数値的な測定 端的ではあるがコンバージョン数を測定することができるため、指標としての数的成果を導きだすことが可能。当然のことだが、広告が表示された回数、クリックされた回数(=ランディングページ訪問回数)も逐一確認ができる。これが見えることで、ユーザーの認知度やニーズなどを大まかに把握することが可能となる。 ■ユーザーへの認知 プル型広告であるリスティング広告は、ユーザーが検索行動を取った際に初めて画面上にお目見えすることになる。ということは、プッシュ型広告のような「情報発信」はあまり得意ではないということがいえる。しかしニーズさえあれば、そのニーズのボリュームに応じた広告の露出が望め、結果としていい効果が期待できる。 ■サイトへ誘導するユーザーの選別 リスティング広告の醍醐味が、この「ユーザーの選別」であろう。冒頭で「確度の高いユーザー」と表現したが、ユーザーマッピング上で購買が見込める部分に位置するユーザーのみが知り得、検索し得るキーワードをリスティング広告に登録、設定することでその選別は可能となる(しかしそこまで突き詰めることは、広告露出のボリュームを小さくするという行為に等しく、提供する商品やサービスの市場的なポジショニングや規模に大きく依存することになる)。 ■売上確保(購買促進) ここでまた一気にハードルが上がる。なぜかというと、今まで以上に重要なリスティング広告の範疇を超える条件が加味されることになるからだ。ユーザーが商品やサービスを購入するのはリスティング広告上ではなく、ランディングした先のサイトである。ということは、ユーザーをサイトへ招き入れて以降「購入確定ボタン」を押すまでは、リスティング広告側では面倒が見られないということになる。 ここまで書いたところで、みえるのは「リスティング広告の限界」だ。ユーザーに検索されることで広告が表示され、かつユーザーにクリックされて初めてサイトへユーザーを誘導することができる。その先、コンバージョンまでの道のりは再びその範疇から外れる、という、なんとも購買行動のうちの局所部分をフォローしているに過ぎない広告だということがわかる。 ではリスティングの守備範囲は、購買行動のなかのどの部分なのだろうか。AISAS に代表されるモデルを参照するとわかりやすいが、 1.Attention(注意)→2.Interest(関心)→3.Search(検索)→4.Action(購買)→5.Share(共有) という流れの中の「3.Search」部分のみである。コンバージョンをリスティング広告の一連の流れと捉えれば、4番目の Action も含まれるが、それでもほんの一部にすぎないことがわかる。 なぜ、いままでこの購買行動の一部分だけを指して「リスティング広告は ROI が高い。」と言わしめていたのか。それは、サイトへ誘導するユーザーを選別することで「取りこぼしていた購買層を効率よくすくい上げる」ことができたからである。これこそが、リスティング広告本来のあり方であったはずだ。この「いままでアプローチできていなかった未開拓地域」に、企業はリスティング神話を見たのである。 しかし、このように箱を開け、中身を羅列してみると、神はいないということがわかる。神話は神話ではなかった、ということがわかる。あるのは、事実のみ、だ。 リスティング広告を運用、または提案する者がこのことを理解しているか否かで、運用方法は一緒であったとしてもその後の展開に大きく差が出ることになる。なぜならそれは状況把握の差であり、その差は結果として広がるばかりのマーケティングの大海原におぼれるか、大航海時代よろしく可能性を見出し船出できるかの分かれ道だからだ。 「リスティング広告」という箱庭の限界を知ることで、次に取るべき行動がみえてくるはずである。 (執筆:株式会社ファンサイドAGマーケティング チーフ・コンサルタント 鈴木 浩也) 記事提供:ファンサイド AG マーケティング
関連記事 関連テーマ 最新トップニュース
|
|